~いつまでも住み続けられるまちづくり~
第55回山形県生協大会を開催しました
報告 佐藤大樹
9月10日(火)山形テルサにて第55回山形県生協大会が開催され、山形県生協連に加盟する県内各地の協同組合から570名が参加しました。
オープニングは今回初めて、ヴォーカリストのシーナさんに飾っていただきました。シーナさんはジャズやゴスペルからポップス、クラシックまで幅広いジャンルを歌いこなし、県内各地でライブやヴォーカルレッスンなど音楽活動をしています。共立社北村山生協「歌の教室 こぱる組」でシーナさんが歌唱指導している縁でお呼びすることとなりました。選曲の指定はせず、平和にちなんだもの、参加者の元気を引き出せるものでとお願いしたところ、「糸」「イマジン」「翼をください」の3曲を歌っていただきました。会場に響き渡る素晴らしい歌唱はもちろん、最後の「翼をください」では教会のゴスペルさながらに参加者みんなで歌い合い、会場は大盛り上がりとなりました。
主催者を代表して、山形県生協連の渡邊一弥会長が挨拶しました。最初に7月下旬に発生した山形県大雨災害の犠牲者に対し哀悼の意を表し、被災者にお見舞いを申し上げました。そして、今も続くロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスによるガザ地区での衝突によって子どもを含む多くの民間人が犠牲となっている事態に触れ、平和を掲げる生協として、武力や核兵器の恫喝によって紛争を解決することは決して容認できない、と強く抗議しました。また、今の物価高騰が組合員の暮らしを圧迫していること、全労働者の7割を占める中小企業の労働者の賃金は上がっておらず国の支援の必要性を訴えました。最後に来年2025年は2回目の「国際協同組合年」であり、協同組合の価値を広める年となること、山形県生協連は会員生協とともに持続可能な社会の実現に向けて尽力していくことを誓い、挨拶としました。
今年は2つの生協から活動報告がありました。一つ目は共立社天童生協が「共立社天童生協40年のあゆみ」と題し、準備会結成から1984年の発足、これまでの様々な運動について3名の方から報告がありました。ここ10年の取り組みでは、商品から食とくらしについて考える「商品活動委員会」、居場所づくりの「コープおしゃべり喫茶」が紹介されました。そして最後に「平和活動」について報告され、天童生協が中心となっている「天童平和をつたえる会」の取り組みが天童市の平和運動をリードしている成果が報告されました。
2つ目は医療生協やまがたから「創立60周年を迎えて」と題し報告がありました。10年前に制作された「医療生協やまがた50周年までの歴史」の映像から、1964年の庄内医療生協の設立から、「無差別平等の医療・介護」「地域まるごと健康づくり」をめざした50年間の歩みを振り返りました。その後60周年までの10年の経過の中で、2017年にやまがた保健生協と組織合同し「医療生活協同組合やまがた」に改称し全県的な組織となったこと、コロナ過での組合員活動、健康づくりの取り組みが報告されました。最後に、たまり場「なごみの家」で考案された「なかよし音頭」がステージ上で披露され、会場全体で手拍子がうたれ大いに盛り上がりました。
ここで第一部終了となり、昼食には毎回好評の余目町農協特製の「真心9マス弁当」をいただきました。庄内町と余目町農協の特産品を詰め込んでおり、今回は庄内町余目産青大豆(黒神)の煮豆が一押しとのことでした。
昼食休憩後はお楽しみの「お土産交換会」が行われ、共立社の各地域生協、生活クラブやまがた、山形大学生協、余目町農協、岩手宮古の東日本大震災復興支援団体「かけあしの会」がそれぞれ出店し、地元の自慢の特産品の販売が行われ、生協大会ならではの楽しい時間を過ごしました。
第2部はメイン企画として、講談師の神田香織さんによる「講談 はだしのゲン」の公演が行われました。生協 は平和な世の中であることを何より大切にし、中でも唯一の被爆国として核廃棄廃絶を強く求めてきました。国連では核兵器禁止条約が採択・発効され、国際社会は少しずつ核兵器廃絶に前進しています。しかし肝心の日本は条約を批准せず、締約国会議へのオブザーバー参加すらしていません。そして国内では「はだしのゲン」が図書館や平和教材から外される動きが出ています。そこで実行委員会では38年前から講談で「はだしのゲン」を公演している神田さんの要望が出され、企画することになりました。神田さんは本編に入る前に、自分の生い立ちや講談師の修業時代、なぜ講談のテーマに反戦や平和を取り上げ「はだしのゲン」を演目とするに至ったか、ときにユーモアを交えた前説がありました。そして舞台暗転後、「はだしのゲン」本編90分間を張り扇のアクションとよどみのない名調子で熱演されました。著作権から内容を記載することはできませんが、原作の「はだしのゲン」同様、戦争の愚かさ、原爆の悲惨さ、そして平和や命の大切さが心の奥まで伝わる講談でした。
大会の最後に、共立社天童生協の富樫佐世さんが大会アピールを読み上げ、紛争の即時停戦、災害支援、エネルギー政策、食料問題や気候変動、健康保険証廃止の問題を取り上げ、協同組合として「いつまでも住み続けられるまちづく」目指して奮闘していくことを提案し、拍手で承認されました。