1.東ティモールの課題
東ティモールは国土も小さく、近年にできたばかりの新しい国です。人口は100万人で、その半分以上が子どもで占められています。保健と医療ケアは東ティモール人の基本的な権利として保障されており、子どもの死亡率が1,000人中84人から64人にまで減少しています。しかし、経済的にも進展を続けているものの、社会開発指数は後発開発途上国に位置づけられて、東ティモールの子どもたちは未だ貧困に苦しめられています。
【指標】
- 高い乳幼児・新生児死亡率・・・1,000人中64人
- 高い妊産婦死亡率・・・10万人中557人
- 高い栄養不良率・・・5歳未満児の58%が発育阻害
【子どもの死亡率や妊産婦死亡率が高い主な要因】
- 新生児、子ども、女性への不適切な保健ケアの習慣
- 妊産婦ケアサービスの利用が特に貧困層において少ない
- 子どもの保健ケアサービスの利用が特に貧困層において少ない
- 安全な水や清潔な衛生施設へのアクセスがよくない
- 保健施設や保健制度の機能が弱い
- 都市部と農村部、裕福な家庭とそうでない家庭の子どもの間に格差
2.プログラムの概要
【目標】
- 2017年までに2県における家庭での保健・栄養ケア、母親の保健・医療を受ける習慣を根付かせる意識改革を行い、今よりも15%栄養不良児の率を減らす
- 保健省に財政・技術支援を行い、新生児・乳幼児保健ケアの社会サービスを改善する
【恩恵を受ける人たち】
発育阻害の子どもの指標が高い2つの県において支援活動が実施されます。村(Aldeiaという行政区分)ごとに母親支援グループの設立を行います。合計で、約4,800人の妊娠中あるいは授乳中の母親、4,800人の乳幼児、そして15,000人の5歳未満の子どもたちがその恩恵を受けます。ユニセフは保健省と国内NGOを支援し、村(Aldeia)に母親支援グループを置き、彼女たちが新生児や子どもが保健・医療を受ける習慣を促進する役割を担います。母親支援グループは村ごとに設置され、完全母乳育児や食育、保健・医療を受ける習慣、蚊帳の使用、新生児の病気の症状、妊産婦への栄養指導など、主要な家庭での保健習慣について、普及活動を行います。また、ユニセフは保健省に対して、子どもの保健ケアサービスの強化、特に予防接種制度と保健・衛生サービスの改善に焦点を置いた支援を行います。
3.活動内容と費用
2県で支援活動を実施するためには、3年間で360,000ドル(年間120,000ドル)の資金が必要です。
【活動内容】
- 保健・栄養ケアの習慣についての実態調査
- 231村(Aldeia)に母親支援グループを設置、研修
- 指導用の資材の開発と調達
- トレーナー、監督者、コミュニティ推進員など、実施主体の人件費
- モニタリングと評価
- 保健省への政策提言と能力開発